『ナラタージュ』読了

まさに寝る間を惜しんで一気に読んだ。島本理生の作品はこれが初めてじゃなくて、大学の授業で『リトル・バイ・リトル』を扱ったことがあった。周りの学生の評価はいまいちだったけれど、私は好きだった。ゆったりとして、でも誠実で。
ナラタージュ』もやっぱり誠実。だからあんなにもみんな傷ついてしまう。

大学2年の主人公が、高校時代の部活(演劇部)に助っ人として参加する。そこには高校時代から思っていた顧問の先生もいて・・・。という話。
なんだ少女趣味な話。と思わないでくださいね。
ストーリーだけ追っていけば、ただの少女漫画。自分には好きな人がいて、でもそんな自分を想ってくれる別な人が現れて、揺れながら傷つけて傷つきながら・・・。という感じ。だけど、気持ちを描写するのだったり、沈黙の置き方とか周りの景色とか、そういうのがきれい。やや感傷的だけど、人間生きていたら、まして恋をしていたら少なからず感傷的になるさ。セカチュー辻仁成みたいに Too much でもないし。自分より3つも年下の子が書いたのか・・・。

別に同じ体験をしているわけじゃないのに、主人公と私はなんだか似ている、と思った。1人の人を長く想っているところとか、なんか諦めつつ諦めきれない感じとか、後姿がボーっとしているところとか・・・。

読み終わって、悲しくなった。でも、いい話だと思う。読んでよかった。あぁ、涙腺弱し。色んな事を思い出して、しばらくボーっとした。